現役美容看護師として年以上働いてきたわたしですが、美容クリニックに入職してすぐに辞めてしまった人や数年働いて他科の一般的なクリニックに転職した人など、さまざまな事情で辞めていく人をみてきました。
これから美容クリニックへの入職を考えている人にとっては、
- 美容クリニックの看護師は人気で競争率も高く、内定をもらうのも難しいのに、なぜすぐに辞めてしまうんだろう?
- 美容クリニックに入職した後で、後悔して辞めるようなことにはなりたくない…
- 実際、美容看護師は若い内しかできないだろうし、年齢を重ねたら退職するしかないのでは…?
といったように、就職や転職は人生の大きな選択ですので、入職した後で後悔するようなことは避けたいと思っているのではないでしょうか?
この記事では美容クリニック勤務歴10年の現役美容看護師であるわたしが、退職した人たちと関わったり、実際に聞いた退職理由など、これまでの経験に基づいて、代表的な退職理由とその対処法について解説していきます。
この記事を読むことで、美容クリニック入職後のミスマッチをなくし、後悔してすぐに退職してしまうというリスクを減らすと共に、今後のキャリアプランについて具体的に考えられるようになります。
美容看護師が辞めたい理由5選とその対処法
ノルマがきつい・美容治療をお勧めするのが苦手
美容クリニックは病院と違って営利企業であるため、看護師も少なからず営業をしなければならないことがあります。
美容クリニックによって看護師が営業に関わる度合いは異なってきますが、主に営業を行うカウンセラーがいる美容クリニックでも、信頼関係を築きやすいのは施術に入る看護師であるために、施術中に患者様へ美容治療の提案やお勧めをすることがあるのです。
ただ、看護師に個人ノルマを課しているようなクリニックは少なく、クリニック全体の目標として売上目標を毎月設定しているクリニックがほとんどです。
ノルマがあるクリニックでは、クリニック全体のノルマが課せられているところもあれば、個人ノルマが課せられているところもあります。
営業が苦手な人が、個人ノルマの厳しい美容クリニックにいくと、精神的負担が大きいです。
看護学校でも病院勤務でも営業を経験することはないので、営業することに苦手意識を持ったり、美容治療が高額であるだけに押し売りをしているような感覚になって、抵抗を感じる人も多いです。
また、ノルマがあるクリニックやノルマがなくても売上に対するプレッシャーをかけられるようなクリニックでは、患者様に対して不要とも思われる施術や商品を提案してでも、売上をあげないといけないこともあります。
このような営利目的で利益重視の美容クリニックでは、治療の提案やお勧めを割り切ってすることができない人は罪悪感を感じて、営業の仕事が苦痛になる人もいます。
ノルマの有無の確認と、ノルマがある場合はクリニック全体のノルマなのか個人ノルマなのかを把握しましょう。
ノルマがないクリニックの場合でも、売上に対する圧力をかけられることはないかを把握することも重要です。
ただし、ノルマが設けられているところほど高給与になりやすい特徴もあるので、自分自身の優先順位を考えてクリニック選びをしましょう。
「できる限り営業をしたくない」という方であれば、ノルマがないクリニックで、売上に対するプレッシャーもほとんどかけてこない美容クリニック、かつ看護師が主体的に営業を行わなくてもいいように専門のカウンセラーもいる美容クリニックを選ぶといいでしょう。
また、ノルマの有無に関わらず、営業の仕方などを丁寧に指導してもらえる美容クリニックを選択することも大切です。
※転職エージェントを利用して美容クリニックに確認してもらうといいでしょう。
おすすめの転職サイト(エージェント)について詳しく知りたい方はこちら↓
【美容看護師53人が選ぶ】美容クリニック特化の転職サイトおすすめ3選【2021年最新版】
やりがいを感じない
美容皮膚科メインのクリニックや脱毛メインのクリニックでは、看護業務として主な仕事がレーザー照射となり、良くも悪くもルーティンワークとなりやすいです。
また、そういったところでは注射や点滴・手術の介助などの看護技術が少ないことから看護師としてのやりがいを感じられない人もいます。
さらに、大手の美容クリニックなどのように、受付やカウンセラーがいて看護師の仕事内容が専業化されているところでは、施術以外に患者様と関わる機会がほとんどない場合もあります。
それに加えて、常に忙しい場合は、看護師は次から次へと患者様の施術に入っていくようになります。
このようなところでは、「看護」をやっている感覚が全くなく、ただの作業に感じられて、飽きてしまったり、やりがいを感じられない人もいます。
「本当に必要な人に必要な医療を提供していた病院時代の方が一生懸命になれて、やりがいも感じられた」と感じる方も多いでしょう。
美容クリニックには美容クリニックならではのやりがいがあります。
美容クリニックへの転職をする前に美容看護師のメリットやデメリット、詳しい仕事内容や病院の看護師とのギャップなども知っておくことで、自分自身が美容看護師になった時にやりがいを感じられそうかどうか判断しやすいでしょう。
美容看護師の仕事内容↓
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また、忙しすぎて患者様と真摯に向き合う時間がないようなところでは、流れ作業のように感じてやりがいを感じにくいことがあります。
個人などの小規模の美容クリニックでは看護師の裁量権が大きく、一人ひとりの患者様と丁寧に関わっていきやすかったり、自分たちで美容クリニックのカラーを作り上げることもできます。
そういった美容クリニックを選べば、やりがいを感じられやすいでしょう。
もしくは、やりがいは感じられなくても美容看護師の仕事には魅力的な部分やメリットが多いために、美容クリニックで働きたいと思う人も多いです。
イメージとのギャップ・労働条件の相違
美容看護師は「キラキラしていて華やか」「夜勤・残業がなく楽そう」「気楽に楽しく働けそう」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし実際は、美容看護師の仕事は病院の看護師とはまた違った大変さがあります。
病院での患者対応とのギャップ
美容クリニックは自由診療であるために、保険診療に比べて売上重視の傾向があり、主に患者対応が大きく異なります。
接客・サービス業がベースにあり、患者様に対してはお客様として対応するため、言葉遣いなど接遇に気を遣わなければなりません。
また、病院では注射など失敗しても患者様に何か言われることは少ないですが、美容クリニックに来院される患者様はデリケートな方もいるので、1回失敗しただけで「担当を変えてほしい」と言われることも。
女社会で人間関係に疲れる
そもそも看護師の職場環境は特殊な女社会で、特に病院の看護師の仕事は責任の重圧も大きく、激務でストレスを抱えやすいということから、イライラしやすい人や気の強い人が集まりがちです。
病院の看護師はお局が苦手だと思ったことがある人は多いでしょう。
美容クリニックではプライベートの時間を確保しやすく、病院ほど精神的負担は大きくないでしょう。
ですが、美容クリニックも基本的には女の世界であり、中には派閥があったりいじめがあるような陰湿なクリニックもあります。
職場の人間関係に関しては割り切って働ける人もいますが、人間関係のいいところに転職したい!と思う人も多いです。
入った順&上下関係が厳しいクリニックもある
これまでの看護師としての経歴がどれだけあろうと、基本的には入った順なので、1日でも早く入職した人が先輩となります。
そのため、自分よりも年下の看護師やカウンセラーにも敬語を使ったり気を遣わなければなりません。
看護師としてのプライドが高い人には、苦痛に感じやすいでしょう。
体力勝負&肩こり腰痛になりやすい
忙しいところでは次から次へと施術に入っていくので、座って一息つく間もなかったり、歩きまわったり、立ちっぱなしになることが多いです。
美容クリニックではレーザー等の機械を使用した肌治療や脱毛治療のように、火傷をさせるリスクがある施術もあります。
火傷させないよう肌状態を見ながら機械の照射をしていくので神経を使いますし、しっかりと観察するために施術中の姿勢が中腰になりやすいです。
また、大きい手術の介助に入る時は長時間立ちっぱなしになることも。
このように華やかで楽しそうというイメージを持っていたり、美容看護師の仕事を深く理解しないまま転職してしまうと、イメージとのギャップが大きいために辞めたくなる人も…。
さらに実際に働いてみると、「休みがとりづらい」「前残業・残業が多いところだった」「給料やボーナスが聞いていた金額より低い」など、面接で聞いていた条件と違うようなブラックな美容クリニックも中には存在し、このようなところで働いていると「辞めたい」となるのも当然でしょう。
まず、「思っていたのと違う」「イメージとのギャップが大きい」となることに関しては、美容クリニックに入職する前に、必ず美容看護師の仕事について把握しておくことです。
美容クリニックの人間関係については、必ず面接時にクリニック内を見学したり、転職エージェントを利用して内部事情を聞いておくなど、見極めておくことが重要です。
さらに、人間関係を最も重視したい!という方の場合は、女性社会ではない男性看護師のいる男性専門美容クリニックも選択肢に入れるといいでしょう。
人間関係のいい美容クリニックの見極め方↓
【体験談】美容看護師の人間関係は悪い?見極める4つのポイント
そして、「面接のときに説明された条件と違う」というトラブルを避けるために、転職エージェントを利用して残業時間や有給消化率などの内部事情を調べておくことが重要です。
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そして内定をもらったら、雇用契約書(労働契約書)など労働条件について必ず書面でもらうようにしましょう。
看護スキルの低下に不安を覚える
美容クリニックの業務内容は、一般的な病院の看護とは違います。
美容看護師の看護業務は特殊であり、専門的かつ限定的です。
注射・点滴・採血や手術の介助などはあるものの、これまでの病院・病棟での看護経験で身に付けた知識や技術はどんどん忘れていき、一般病院では当たり前の看護スキルは低下してしまう恐れがあります。
いずれ病院に戻って働きたいと考えている人は、一般病院の看護師としての知識や技術が衰えることを不安に思って数年で退職を考える人も多いようです。
できる限り、看護スキルを低下させたくないと考える人は、全身麻酔を扱うような大きい手術が頻繁にあって、全身状態の管理や手術室看護ができ、注射や点滴も多い美容クリニックにいくのが良いでしょう。
また、美容クリニックは病院に比べてプライベートな時間を確保しやすいことが多いので、病院に戻りたいと思った時に、美容クリニックに勤めながら、また疾患の勉強をするなど病院に戻るための準備はしやすいといえるでしょう。
年齢的に将来性が不安
美容クリニックでは年齢は20代〜30代の看護師が多いことから、30代半ば〜40代くらいの年齢に差し掛かってくると、「この先もずっと美容クリニックで働けるのか不安」と感じる人は多く、退職を考えることが多いです。
また、美容クリニックに転職する前から、「若い内は美容クリニックで働いて、ある程度年齢を重ねたら長く働けるところに転職しよう」と考えている人も多いでしょう。
「美容医療の分野が好きだけど、年齢的に辞めた方がよさそう…」と考えている人は、保険診療で一般の皮膚科も診療している美容皮膚科クリニックや、保険診療主体で美容皮膚科も併設しているようなクリニックであれば、看護師の年齢層が高いため働きやすいでしょう。
また、そういった美容皮膚科クリニックに転職すれば、これまでの美容クリニックでの経験が活かせるというメリットもあります。
また、「美容クリニックは若い内にしか働けない」というイメージがあると思いますが、役職につくことができれば長く働くことができます。
実際にわたしのクリニックでは看護部長や主任などの役職についている人の年齢は40代前半〜後半です。
本人のやる気や能力にもよりますが、基本的には美容クリニックでは年功序列で、上の人から役職がついていくことが多いです。
美容クリニックの勤務年数が長いほど、そのチャンスは多いでしょう。
美容看護師の特徴を理解して自分に合ったクリニック選びをする
この記事では、美容看護師が辞めたいと思う5つの理由とその対処法についてお伝えしてきました。
一般的な病院は保険診療ですが、美容クリニックは自由診療であるために、売上も重視しなければならないところがあります。
そのため、接客サービスがベースになり、患者様をお客様として対応しなければならなかったり、看護師が営業をすることがあるなど、病院の看護師とは仕事内容が大きく異なります。
美容クリニックに転職した後で、大きなギャップを感じたり、転職を後悔して辞めたくなるようなことがないように、美容クリニックの仕事内容をしっかりと理解しておくことが重要です。
そして、自分自身の理想の働き方や働く上で譲れない条件などを明確にすることで、自分に合った美容クリニックを選択することができ、転職後のミスマッチをなくすことができるでしょう。
給与の高さ、休みの多さ、忙しくないところ、人間関係がいいところ、美容医療を幅広く学べるところ、子育て中のママ看護師でも働きやすいところなど、何を重視するかは人それぞれで、それによってその人に適している美容クリニックも、美容クリニックに入職した後のキャリアプランも変わってきます。
そして、自分の条件に合う美容クリニックかどうかを見極めるために、採用担当者に質問したり、転職エージェントを利用して内部事情を聞いておくなど、転職前にしっかりと情報収集しておくことが重要になります。
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【美容看護師53人が選ぶ】美容クリニック特化の転職サイトおすすめ3選【2021年最新版】
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