みなさんは、美容看護師のイメージとして
- 給料が高い
- 夜勤がなくて楽そう
- 仕事が楽しい
- みんなキラキラしていて華やか
こんな風に、良いイメージばかりが先行している人も多いのではないでしょうか?
華やかな世界の裏側には厳しくて大変な部分ももちろんあります!
実際に働いてみて分かった美容看護師のデメリットや大変なことについて、私の経験と他の美容看護師の方々の体験談と共にお伝えしていきます。
この記事を読むことでこんなことが分かります。
- 美容看護師のデメリット・華やかな世界の裏側
- 美容看護師の仕事で大変なこと
- 美容看護師に向いている人・向いていない人
- デメリットを踏まえても美容看護師になるメリット
これらの内容をあらかじめ知っておくことで、美容看護師に転職した後で「こんなはずじゃなかった…」と後悔することを防ぐことができます。
美容クリニック看護師のデメリット
まずは美容クリニック看護師のデメリットについて、下記の美容看護師たちのリアルな体験談に基づいて、お伝えしていきます。
- 美容看護師歴8年のわたしの経験談
- 知り合いの美容看護師たちの体験談
- Webアンケートで調査した他の美容看護師の方々の体験談
それではさっそく、お話していきますね。
看護師としてのスキル低下・看護スキルが身に付かない
美容クリニックで行う看護技術はかなり限られています。
注射・点滴・採血や手術の介助などはあるものの、看護学生時代の実習経験やこれまでの病院・病棟での看護経験で身につけた知識や技術はどんどん忘れていき、一般病院では当たり前の看護スキルは低下してしまう、もしくはスキルが身に付かない恐れがあります。
全身麻酔を扱うような大きい手術が頻繁にあって、全身状態の管理など手術室看護の知識や技術もしっかり身に付くようなクリニックであれば、まだいいのですがクリニックによっては脱毛メインや美容皮膚科メインのクリニックもあります。
そういったクリニックで働いていると、看護技術は低下していく傾向にあるので、気分的にも再び大きい病院には戻りにくいと感じるかもしれません。
命に関わる程の手術は少ないので、急変対応に関しては技術も知識も共に衰えましたね。(市立病院の循環器病棟で4年働いた後に大手美容クリニックに転職)
看護技術を使う機会がとても減るので、看護師としてのやりがいは感じられないです。(大学病院の内科混合病棟で3年働いた後に美容皮膚科へ転職)
看護師ということを忘れます。看護師としてのやりがいを感じなかったです。ふと、看護大学時代の苦悩が脳裏に浮かび、「私は何をやっているのだろうか」と自問自答してしまうこともありました。(大学病院外科病棟で10年働いた後に脱毛クリニックに転職 当時31歳)
特に病棟看護師歴の長い看護師さんは、知識や技術が衰えることで、やりがいも感じられなくなることがあるようです。
少しでも看護スキルを身に付けておきたいのであれば、注射や点滴が多い美容クリニックや、大きい手術が頻繁にある美容外科に行くといいでしょう。
美容クリニックから他の科に転職しにくい場合もある
「年齢が若いうちに美容看護師としてキラキラした世界で楽しく働きたいけど、ある程度年齢を重ねたら一般病院の看護師に戻って働きたい。」と考えている方も多いです。
しかし一般病院からすると、美容クリニックでの看護経験は看護師としての経験年数には加算されないケースもあります。
とはいえ、これには本人のやる気の問題も大きく関わります。
注射や点滴が多いクリニックであれば、そのスキルはキープできますし、潜在看護師(看護師免許をもっているにも関わらず、現場の看護師として働いていない方)とは違って、美容クリニックであっても看護師として働いていることには変わりありません。
また、「特殊な看護業務のため、看護スキルが身に付かない」という現状は、耳鼻科や眼科、保健師などでも同じことがいえます。
病院によっては建前上、「美容クリニックの勤務歴は看護師としての経験年数に加算されない」としていても、「美容クリニックの看護師だって注射や点滴などの基本的な看護技術はできる人が多い」ということを分かっているし、それを考慮してくれるところもあります。
近年では美容クリニックへの就職・転職をする看護師は増加傾向にありますし、「美容クリニックでの勤務歴=看護師のキャリアに含まれない」というような古風な考えに囚われている病院などで働くということは、むしろ避けたほうが良いかもしれません。
注射や点滴などの看護技術が多い美容クリニックで看護スキルをキープしつつ、再び病院へ戻ったとしても、勉強しながら早めに勘を取り戻して、臨床で働くことはできます。
要は本人のやる気次第です。
やる気さえあれば、再び臨床に戻ることは不可能ではありません。
営業ノルマを課しているクリニックもある
営業の仕事が苦手な人が、ノルマが厳しいクリニックにいくと、精神的負担が大きいです。
美容クリニックによっては看護師一人ひとりにノルマが課せられているところもあります。
そのようなところでは「売上の取り合い」なんてことも起こりやすく、スタッフ同士がギスギスしてしまうことも…。
ただし、患者様に商品購入や施術の契約をしてもらい、売上を上げることができればインセンティブとして支給されます。
ノルマを課している美容クリニックほど給与が高い傾向にあるようですが、契約をとれないと自分自身が負担を感じて、そのクリニックに居づらくなる場合もあります。
契約を取ることに自信がない場合は、ノルマがない美容クリニックや、ノルマがあっても給与への影響が少ない美容クリニックに行くことをオススメします。
特にカウンセラーのいるクリニックだとノルマがない場合があります。
希望の休みが取りにくい場合がある
美容クリニックはサービス業なので、世間がお休みである土日は予約が混みやすく、かなり休みが取りにくいです。
大手であれば年中無休で土日も開院しています。
クリニックによっては、日祝が定休日のところもありますが、平日を定休日に設定しているところや、完全シフト制のところが多いと思います。
また、春休み・GW・夏休み(お盆休み)・冬休み(年末年始休暇)など、世間が連休の時期は、美容クリニックの繁忙期になります。
そのため、連休の直前の日や連休中は基本的に休むのはNGか、NGでなくても休みが取りにくい場合があります。
このように、土日や繁忙期である連休の時期は、冠婚葬祭などの特別な理由がない限り、休みはあまり取れないと思っておいたほうがいいでしょう。
上下関係が厳しいクリニックもある
先輩に練習をお願いする場合は
「〇〇の施術の見学に入らせて頂いてもよろしいですか?」
「〇〇の練習をさせて頂きたいのですが、ご都合のいいお時間はありますか?」
などと、言葉遣いに気をつけながら1つ1つ確認することが必要になります。
特に新人のうちは、施術を1つ練習するのにも、何日も前から自分で予約状況を確認し、空いている時間がある日を見つけて、練習をみてもらう先輩とモデルになってもらう先輩の都合のいい時間を1人ずつ確認して、練習をお願いする、という風に気を遣って自分から行動しなければなりません。
先輩の方から、優しく「ここの時間を使って〇〇の練習をしよっか!」と言ってくれるクリニックもあります。
しかし、基本的には先輩から練習の提案をされる前に、自分から練習をお願いするなど、積極的に行動することが求められます。
クレーム対応がある
美容クリニックでは患者様からクレームが入ることがあります。
クレーム内容によって受付やカウンセラーが対応する場合もあれば看護師が対応する場合もあります。
- 脱毛の照射漏れや火傷に関するクレーム
- 赤みや腫れが治まらない
- 効果が出ていない
- 思っていたイメージと違う
契約内容に関するクレームであれば契約をとったスタッフが対応したり、施術に関するクレームであれば、施術を担当した看護師が対応するようになります。
患者様は高い料金を払って施術や手術を受けるので、事前に契約内容や施術内容の説明をしっかり行っていたとしても、不安な気持ちになりやすかったり、神経質になりやすい傾向があります。
患者様からクレームがあれば、電話や来院された際に患者様の不安な気持ちを受け止めて、丁寧に説明を行ってまずは様子を見てもらうようにお伝えすれば、納得して頂ける方がほとんどです。
それでも改善しない場合には、別のお薬をお渡ししたり、1回分施術のサービスを行ったり、あるいは再手術、返金などで対応していきます。
ですが、1番大切なのはそもそもクレームが起こらないように、きちんと説明をしておくことです。
「この治療をすれば絶対に治ります!」なんてことは言ってはいけません。
効果の出かたには必ず個人差があるということや、施術や手術をすることのデメリット、ダウンタイムをきちんと説明しておくこと、また患者様が望んでいる効果やなりたいイメージをしっかりとヒアリングしておくことでクレームになることはほとんどありません。
また、どれだけ患者様に最適な治療内容のご提案ができるか、ということも大切といえます。
美容看護師の仕事で大変なことは?
病棟看護師とは違う看護観や価値観のギャップ
美容皮膚科メインのクリニックや脱毛メインのクリニックなど、注射や点滴・手術の介助などの看護技術が少なくレーザー照射がメインの美容クリニックもあります。
そういったところでは、特に病棟看護師歴が長い人にとって、「看護」をやっている感覚が全くなく、ただの作業に感じられて、飽きてしまったりやりがいを感じられない人もいます。
病棟看護師と美容看護師の仕事内容のギャップに耐えられなくて、すぐ辞めてしまう人も…。
また、美容クリニックでは、看護師として働くというよりも、接客サービス業がベースになります。
病棟看護師の時とは違う、接客サービス業ならではのコミュニケーション能力や、営業スキルが必要になります。
電話対応や受付業務、カウンセリングなど、施術以外でも患者様への接客をする場面は多く、言葉遣いから所作まで、一から接客スキルを覚えないといけません。
また、病棟では注射や点滴で失敗しても2〜3回くらいは再チャレンジさせてもらえますし、患者様からも特に何か言われることは少ないです。
しかし、美容クリニックでは1回失敗しただけで、「担当を変えてほしい」と言う患者様もいらっしゃいます。
都内の美容クリニックでは有名人の方が来院するクリニックも多いですし、病棟のときよりも、注射や点滴のプレッシャーは大きいといえます。
覚えることが多くて大変
美容クリニックによっても、取り扱う治療内容が変わってきますが、治療内容の種類が多ければ多いほど、覚えることが多くなります。
脱毛メインのクリニックであれば、覚えることは少ないので比較的に楽ですが、美容皮膚科や美容外科であれば、レーザーなどの美容医療機器での施術や手術などの種類が多いほど覚えることは多いです。
ほとんどの場合、大手美容クリニックは扱う治療メニューが多いので、覚えることは多いといえますが、その分美容看護師としての知識や技術も幅広く身に付きます。
特にレーザーなどの機械の照射は、照射もれがないようにしたり火傷させないように、几帳面で丁寧な施術が求められます。
これは向き不向きもあるかもしれませんが、とにかく練習あるのみで、真面目に練習を積み重ねれば、上手になっていくものなので、挫折せずに最初の覚える期間さえ頑張れれば、美容クリニックでのお仕事が楽しくなってくると思います。
意外と体力勝負
美容クリニックの業務内容は病棟に比べたら楽!というイメージがあるかもしれません。
実際は、患者様のお部屋の案内から、使用したお部屋の片付けや次の患者様が使えるようにお部屋の準備をしたり、手術の準備や介助、レーザーなどの機械の施術など、歩き回ったり立ちっぱなしになることが多いです。
中には座って行える施術もありますが、特にレーザー施術や手術の介助は立ちっぱなしの時間が長いですね。
手術の介助でいうと、大きい手術の場合、手術時間も長くなりますので、体力は重要です!
肩こり・腰痛になりやすい仕事が多い
先程もお話した通り、レーザーなどの機械の施術や手術の介助は長い時間立ちっぱなしであることに加えて、下を向いたまま中腰で行う時間が長いです。
機械の施術では、火傷や照射もれがないよう細心の注意を払って、集中して照射していきますので、しっかり観察をしながら施術を行うためにも、姿勢が中腰になりがちです。
特に全身脱毛では施術時間も長いですし照射部位によって、よりキツい姿勢になりやすいです。
手術の介助では、特に器械出しは、手術の流れや医師の動きを予測したり、状況判断するためにも術野をしっかり観察しておかなければなりません。
こちらも長時間、下を向いたままの姿勢になりやすいです。
脱毛クリニックは一日中、中腰の姿勢になるようなものなので、特に負担は大きいかもしれません。
肩こり・腰痛が悪化する前に、湿布や骨盤ベルトなどで対応すると良いですよ!
美容看護師に向いている人と向いていない人
現役美容看護師や元美容看護師の方たちにwebアンケートで【美容看護師に向いている人】と【美容看護師に向いていない人】はどんな人なのか、それぞれ回答してもらいました。
その内容をまとめてお伝えしていきます。
- 美容が好きな人
- 外見に気を遣える人
- 気配りができる人
- 接客が好きな人
- コミュニケーション能力が高い人
- 患者様をキレイにしたい&自分もキレイになりたい人
- 美容クリニックやエステに通っていた経験がある
- 常に新しい知識や技術を覚えるのが好きな人
- 美容に興味がない人
- コミュニケーション能力が低い人
- 看護スキルを低下させたくない人
- 美容クリニックは楽だと思っている人
- 病棟での看護師の仕事にやりがいを感じていた人
- 絶対に営業をしたくない人
- 専門領域で働いてきたプライドを捨てられない人
- 看護業務以外の業務をしたくない人
わたしの個人的な意見としても、やはり接客サービス業がベースとなるので、「コミュニケーション能力がある人」や「痒いところに手が届くような気配りができる人」が向いている人だと思います。
そして「美容が好き」であることは1番大切なところですね。
webアンケートでもそのような回答が多くみられました。
向いているのは明るくコミュニケーション能力があり、美容に興味があり、外見に気を遣える人だと思います。美容外科は整形を考えている人がほとんどなので、患者様を不快にさせずにより良くするためのアドバイスをしたり施術の提案をするなど、適度に関わる必要がありました。なので自分もキレイにしていて、言葉のキャッチボールが上手くないといけないと思います。
向いている人は、コミュニケーション能力が高く、美容に自分自身が大きな関心を持っている人。お客様ののニーズに沿った提案と、プラスαの声かけができる人、気が利く人は向いていると思う。
向いている人は明るくコミュニケーション能力の高い人、美容に興味があり、ある程度の外見の人だと思います。看護師がカウンセリングに入り、契約を取るということはなかったですが、施術中の会話の中でお勧めしたりすることで、ある程度キレイにしている看護師が説明することで説得力が高まります。
「美容が好き」で「自分もキレイになりたい」と思える人でないと、美容クリニックの仕事にやりがいや楽しさを感じられないでしょう。
逆に向いていない人として、「美容にあまり興味がない人」はwebアンケートでも1番多い回答でした。
向いていない人は美容に関してあまり興味がない人です。向上心を持って仕事をできないことや美容に興味がない人は外見(肌ケアや体型への関心)への自己投資も自然と少なくなるため、お客様への商品や施術の推奨も難しくなる。
特に美容に興味はないが楽をしたいから美容に進むという人。美容も決して暇で楽な仕事ではないし、来院する患者様は美意識の高い知識を持っている方が多いので、前述したような人は患者様対応をした時にクレームに繋がりかねないから。
他にも、「自分の看護観を強く持っている人」や「病棟での看護師の仕事にやりがいを感じていた人」も向いていないとの意見が。
自分の持っている看護観を頑なに貫く人には向かないと思います。病棟での患者に対しての接し方が全く違うので、柔軟に対応しなければならないので。
向いていないのは、今までの専門領域で働いてきたプライドを捨てられない人。療養上の世話が好きな人や、バタバタと多忙な動きが実は好きだった人。チーム医療が好きだった人。
特に病棟経験が長い看護師さんだと、美容クリニックでの看護観や価値観の違いに慣れるまでが大変なこともあります。
ですが、それでも「美容が好き!」という人であれば、美容クリニックに転職した後も頑張れると思いますし、やりがいも感じられると思います。
自分自身が仕事をする上で、譲れないところやどういうことにやりがいを感じるのか、そもそも美容に興味があるかなどを自己分析してから美容クリニックに就職すれば、働きだしてから後悔することは防げますよ。
美容看護師はメリットもいっぱい!美容クリニックを理解すれば転職で怖いことはない!
ここまで、美容看護師のデメリットや大変なところをお伝えしてきましたが、このようなデメリットを把握しておくことで、美容クリニックに就職してからのギャップや後悔を防ぐことができます。
転職後に後悔し、辞めたいと考える人は「給与が高い」「夜勤なし・残業なし」などの条件面ばかりに着目し、その他の美容クリニックならではの特徴を理解していなかったからだといえます。その結果、働くのが辛くなり、苦労することになります。
「美容が好き」であることを大前提として、「営業ノルマの有無」や「土日祝や連休に休みは取れるのか」、「患者様の看護というよりも接客サービス業がメインであること」など、美容クリニックの特徴を把握すること。
そして、自分が譲れない条件や自分のやりたいことを明確にした上で、美容クリニックの求人を細かくチェックしていきましょう。
例えば、ノルマが嫌な人であればノルマがない美容クリニックの求人だけを探したり、看護スキルの低下が不安な人は、看護技術の多い美容クリニックを検討するなど、美容クリニックの特徴と自分の条件をすり合わせていけば、美容クリニックに就職してから「辛い…辞めたい…」と後悔するリスクは大幅に減ります。
最後に、わたしは美容クリニックに転職して後悔したことはありませんし、デメリットや大変なことを含めても、美容看護師の仕事が大好きですし、やりがいがあります!
患者様の潜在的な悩みを理解して、自分で考えて治療の提案から施術まで患者様に携わることや、患者様と一緒に治療を頑張って一緒に喜びを分かち合える瞬間など、美容看護師の仕事は楽しくてやりがいも大きいと感じられます。
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みなさんの美容クリニックへの就職が上手くいきますように。
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