初めて美容クリニックに就職・転職する、という看護師さんにとっては
- 美容看護師の仕事の流れってどんな感じ?
- 営業もするの?
- 受付スタッフやカウンセラーとの仕事の境界線は?
などと、よく分からないところも多いと思います。
この記事では【美容クリニックの詳しい業務内容】や【美容看護師の1日の仕事の流れ】を詳しく紹介していきます。
美容看護師の仕事内容とは?
美容外科か美容皮膚科か、大手クリニックか個人のクリニックかなど、クリニックによって業務内容は変わってきますが、美容クリニックの主な仕事内容は大きく分けて3つあります。
- 医療処置などの施術(レーザー照射や注射・点滴など)
- 医師の介助(手術の介助や施術・処置の介助など)
- 営業(商品の販売や施術の提案など)
医療処置などの施術
美容医療機器を使って行う施術や注射・点滴などの美容治療を行います。
ほとんどの施術は特別な技術などは必要ありません。
美容クリニックにより取り扱っている施術は異なります。
美容医療機器の施術
美容看護師の主な仕事として【美容医療機器での施術】があります。
これは、脱毛や美顔でレーザー治療やフォトフェイシャルを行ったり、痩身治療、イオン導入、ダーマペンなどにも医療機器を使って施術を行います。
アートメイクはクリニックによって取り扱いに差がありますが、手彫りと機械(マシン)彫りがあります。
レーザー治療やフォトフェイシャルは特に、照射部位に当て残しがないようにしつつ、同じところに重ねて照射(2度打ち)して火傷させたりしないように注意しなければなりません。
取り扱う機械によって照射面積が違うので、その照射面積を把握してきっちりと丁寧に照射していくことが大切になります。
こういった施術はとにかく練習あるのみで、慣れてくると自分のやりやすい方法なども分かってきます。
最初は大変かもしれませんが、できるようになってくると直接、患者様から感謝の言葉をいただけたりして、楽しさややりがいも感じやすい施術であると言えます。
もちろん向き・不向きはあると思いますが、外科(手術)メインの美容クリニックもあれば、皮膚科(レーザー施術など)メインの美容クリニックもありますので、自分に合いそうな方を選ぶのもいいですね。
注射・点滴・採血
美容クリニックでも注射・点滴・採血の技術は必要になります!
クリニックにもよりますが、プラセンタ注射やにんにく注射、ビタミン点滴や疲労回復点滴など美容の注射や点滴のメニューはたくさんあります。
美容外科では術前に採血を行ったり、ルート確保も行います。
美容クリニックでも注射や点滴があるところは多いので、注射や点滴があるクリニックを選べば、看護技術の低下は防ぎやすいです。
新卒就職の看護師さんや臨床経験の少ない看護師さんは不安かもしれませんが、そういう方の場合は新卒でもOKなクリニックを選んだり、採血等の技術指導や練習をさせてもらえるクリニックを選べば問題ないと思います。
医師の介助
医師の介助に入る場面も多くあります。
美容外科であれば手術の介助はもちろんですが、術後の処置の介助やヒアルロン酸注入やボツリヌス注射などの注入系の介助も行います。
他にも医師と一緒に診察に入って、診察の介助を行うこともあります。
手術の準備・介助
手術にある美容クリニックでは、手術の介助も行います。
術前の準備から手術の介助、術後の処置の介助、処方薬の確認など、一連の流れに看護師が携わります。
手術に関する看護師の主な仕事としては、
- 術前の採血
- 手術室や物品の準備
- 手術当日のバイタルチェックやルート確保
- 外回りは術中の点滴管理・全身状態の管理
- 器械出しは医師が入室するまでにすぐに手術開始できるように物品準備
- 術後の処置の介助
- 術後のバイタルチェック・状態確認
- 医師に処方薬を確認し、患者様に薬の説明をする
- 術後安静などに関するアフター説明
- 術前術後の手術部位の写真撮影
などがあります。器械出しは手術の流れを把握し、医師が今から何をするのかを推察して手術器具を医師に渡していきます。
手術器具1つにしても、医師によって渡し方が違う場合もあります。
取り扱う手術内容はクリニックによって大きく3つに分けられます。
- 局所麻酔を使って行う手術(二重手術、鼻手術全般など)がメインのクリニック
- 全身麻酔を使った大きな手術(脂肪吸引術や豊胸術など長時間の手術)が多いクリニック
- 局所麻酔の手術も全身麻酔の手術もどちらも多いクリニック
美容外科クリニックの看護師にとって、手術の介助は避けては通れない仕事となります。
美容皮膚科のみのクリニックに比べて看護師としての知識や看護力が必要になる場面が多くなります。
そのため、最初は覚えることが多くて大変かもしれません。
ですが、手術室看護のスキルを身につけると、看護技術の幅も広がりますし、看護師としてのやりがいも感じられることが多いです。
特に全身麻酔を使った手術では患者様の全身状態の把握や手術中のモニター確認など、オペ室での全身管理のスキルが求められ、看護師としての知識や技術がより必要とされます。
もちろん局所麻酔の手術でも清潔不潔の管理、基本的な器械出しや外回りの看護スキルは必要とされます。
外科やオペ室経験のある看護師さんは有利ですし、美容外科でも働きやすいといえます。
ですが、新卒の看護師さんや臨床経験の少ない看護師さんでも不可能ではありません。
看護知識や看護技術が不安な看護師さんはプリセプター制度があるところや教育制度が充実しているクリニックを選べば安心です。
現にわたしは病棟看護師を3ヶ月で辞めて転職しましたが、採血・点滴の技術指導から術前の準備、術後の処置や観察するポイントなど、手術に関する看護師の仕事などは1から丁寧に教えてもらえました。
それでも、手術なんて難しそう!無理そう!と感じる場合は、美容皮膚科のみのクリニックや脱毛クリニックを選べば大丈夫です。
施術・処置・診察の介助
- 施術の介助
ヒアルロン酸注入やボツリヌス注射などの注入系の施術の際に、医師の介助に入ります。
基本的には物品の準備、患者様の写真撮影を行い、医師が施術している間も、医師がスムーズに施術を行えるようにサポートします。
また、患者様の不安を取り除いたり体調確認のための声掛けなどを行い、施術後には患者様にアフター説明をします。
- 処置の介助
処置の内容としては、手術した患者様の処置が主ですが、レーザー施術を受けられた患者様の処置を行うこともあります。
こちらも基本的には物品の準備、患部の写真撮影、医師の処置のサポートなどを行います。
術後の定期的な診察・処置に来られている患者様の処置であれば、医師が処置に入る前に看護師が患部の観察・状態確認や情報収集を行い、医師に必要な情報を伝えておきます。
- 診察の介助
診察の介助は一般的なクリニックでも看護師が行います。医師が事前のカウンセリング内容を確認し、診察をします。
このときに手術希望の患者様で計測や診察前の情報収集が必要な場合、看護師が事前にそれらを確認してから、医師に報告し、一緒に診察に入るといったこともあります。
医師と患者様の間に年齢差や異性の感覚の違いがあると、患者様の希望が医師に伝わりにくいことがあります。
たとえば、40代の男性医師に対して、患者様が20代の若い女性であった場合、二重の幅であったり鼻の高さであったり、患者様のイメージするものを100%理解できない場合があります。
そのため、それを看護師が汲み取って間に入り、医師の考えと患者様の希望を一致させていくということも看護師の大切な役割になります。
商品の販売・営業
看護師が商品の販売や営業をするということについて、不安に思う方はたくさんいると思います。
美容クリニックでの看護師の「営業」という仕事について解説いたします。
「営業をする」ということ
基本的に美容クリニックに勤務する看護師は「営業がある」といえます。
専属カウンセラーがいるクリニックではカウンセリングや実際の契約のお話などはカウンセラーが行うクリニックがほとんどですが、実際に患者様の施術に入るのは看護師であり、患者様との信頼関係を築きやすいのも看護師です。
もちろん、施術に入っていれば自分が担当している患者様には今後どういった治療が必要か、どんな治療をした方がいいのかなども、看護師が1番把握しやすいです。
そのため、施術中や施術後などに、患者様へ治療の追加継続の必要性をお話するというのは、ほとんどのクリニックで必要とされるスキルになります。
商品の販売においても同様で、施術に入って患者様の状態を間近で観察し把握しているのは看護師です。
患者様に必要な商品や興味を持ちそうな商品を提案する、ということも求められます。
普通の病院や一般的なクリニックで看護師をしていれば、営業をするなんてことは全くないですし、不安だったり苦手意識がある看護師さんは多いと思います。
ですが、営業というのは患者様にいらない商品や必要のない施術を押し売りするわけではないのです。
患者様に対して、やった方がいいと思える商品や施術を、ただ紹介してあげる、という感覚でいいんです。
どういった商品や施術内容なのか、どういう効果があるのか、などを説明してご提案する。
その後にやるやらないを決めるのは患者様です。
興味のない患者様に無理に押し売りをする必要は全くありません。
ノルマやインセンティブについて
売上については、ノルマやインセンティブがあるクリニックとないクリニックがあります。
その中でも、ノルマはないけど毎月の目標金額というものがあって、それを達成するとみんなにインセンティブがつくというクリニックもあれば、個人で売上を上げたら、個人にインセンティブがそれぞれつくというクリニックもあります。
ノルマやインセンティブの仕組みについてはクリニックによってかなり違いがあります。
自分自身がどういう働き方をしたいか、ノルマやインセンティブの仕組みがどういうところだったらモチベーションにつながるのか、自分がやりやすいのか、などを考えてクリニック選びをするのも大切といえます。
その他の業務
美容クリニックでは薬剤・医療物品の管理や医療機器のメンテナンスなども重要なお仕事です。
またクリニックによっては受付業務や電話対応、カウンセリングも看護師が行うところもありますので、それぞれ解説していきます。
受付・電話対応
クリニックによっては、受付スタッフが行う受付業務や電話対応を看護師が行うこともあります。
受付業務としては、患者様のお部屋のご案内や、お会計、次回の予約取りなどを行います。
電話対応では、患者様からの予約の電話や施術に関するお問い合わせや相談、新規の患者様からのお問い合わせの対応やカウンセリングも行います。
特にクリニックに初めてお問い合わせをいただく患者様に対しては、電話での対応がそのままクリニックの印象へと繋がるため、電話対応や接客のスキルはとても重要です。
電話ではお互いの表情が見えないので、声のトーンや話すテンポに気をつけて、失礼のないよう丁寧に対応していきます。
カウンセリング
こちらもクリニックによって異なります。
大手のクリニックなどはカウンセラーが美容カウンセリングを行うことがほとんどですが、小規模なクリニックや個人クリニックなどでは、カウンセラーがいない場合がありますし、カウンセラーがいても看護師がカウンセリングを行うこともあります。
カウンセリングでは、まず患者様のお悩みをお伺いします。
自分自身の悩みを話しにくい患者様もいらっしゃるので、患者様のお話を聞きながら、本当に悩んでいることや潜在している悩みを引き出してあげることも大切です。
患者様のお悩みに沿って、適切な治療内容をいくつか提案します。
また、患者様の予算と必要な治療のバランスを考えながら、適切な治療のご提案をしていきます。
カウンセリングでは患者様のデリケートな悩みに触れるので、失礼がないように患者様の気持ちに寄り添った言葉選びも大切になります。
薬剤・医療物品の管理や医療機器のメンテナンス
看護師は薬剤や医療機器の管理も行います。
薬剤や医療物品など、不足することがないように、在庫数や使用期限などをチェックします。必要な時は発注を行います。
また、手術に使用した手術物品を洗浄したり、また清潔に使用できるように滅菌作業も行います。
物品によっては、あまり使用頻度が高くないものもあり、滅菌の期限を確認していないと、手術当日になって「期限が切れていた!」なんてこともなりかねないので、前回滅菌してから長期間経っていれば、安全性を保つために再滅菌をします。
このように、定期的に薬剤・医療物品の在庫管理をすることや使用期限、滅菌の期限などをチェックしていくことも、大切な業務になります。
大手美容クリニックと小規模な美容クリニックの業務の違い
クリニックの規模の大きさによって、看護師の業務内容も変わってきます。
大手になるほど、看護師の仕事内容は専業化・細分化され、小規模のクリニックでは総合的でマルチな活躍が求められることが多いです。
大手美容クリニックにおける看護師の業務
大手のクリニックになると業務が部署ごとに完全に分かれていることが多いです。
- 「受付」…患者様のお部屋の案内やお会計
- 「カウンセラー」…患者様のカウンセリングや契約手続きなど
- 「看護師」…患者様の施術や手術介助など
このように分担がしっかりと決まっている中で、看護師に求められるのはいかに効率よく施術や手術を行っていくかになります。
カウンセリングを受けて急遽そのまま施術や手術をするということもあるので、常にスタッフ間で情報共有し、現場の状況を把握します。そして、患者様の施術や手術に備えて、準備をしていきます。
大手クリニックでは美容治療を扱う件数が多いため、施術や手術をとにかくこなしていくようになります。忙しさや覚えることの多さを考えると大変に思えますが、その分美容看護師としてのスキルを伸ばしていきやすいともいえます。
小規模な美容クリニックにおける看護師の業務
個人クリニックなどの小規模なクリニックになると看護師が行う業務の幅が広がります。
- 電話対応
- 部屋案内やお会計などの受付業務
- カウンセリング
- 医療処置などの施術・医師の介助
- 商品の販売・営業
- 在庫管理・滅菌作業・医療機器のメンテナンス
- 洗濯・掃除などの雑務
クリニックにもよりますが、施術や手術に関する業務以外にも、受付、カウンセリング、会計にも入ることが多いです。
小規模のクリニックでは看護師が一連の流れに介入するため、1日の仕事の内容は看護業務だけではなく、さまざまな業務を行います。
そのため、経営についてや看護業務以外のことも学べる機会が多いです。
そして、患者様と接する時間が長くなるため、患者様の気持ちに寄り添った提案や看護がしやすく、やりがいを感じられます。
また、小規模のクリニックは大手にはないアットホーム感があります。一人一人の患者さんと密に接することができるので、患者様から感謝の言葉を頂けたときの喜びもとても大きいです。
自分に合っている仕事、自分がやりたい仕事は何か
小規模な美容クリニックでは看護師が介入する場面が多いため、専門業務が決まっている大手よりも大変そうにみえますが、そんなことはありません。
大手のクリニックにも小規模のクリニックにもそれぞれメリット・デメリットがあります。
どちらの方が大変ということではなく、業務内容が違うので、たくさんの施術や手術介助をこなし、専業化された仕事を行う方が合っているのか、看護業務だけでなくさまざまな業務に携わって患者様に関わっていく方が合っているのか、という見極めが大切です。
自分自身がどちらの業務内容の方が合っているのか、どちらの方がやりたい仕事なのかということも考えながら、クリニックを選ぶことも重要です。
美容看護師の1日の業務スケジュールは?
制服に着替えて、掃除や施術・手術などの準備をしていきます。
開院前に患者様からのメールのチェックや系列院があるクリニックでは他の院の前日の売上やトータル売上のチェック、問い合わせ数や新規来院数のチェックも行います。
また、必ず毎日ミーティングを行い、施術や業務の振り分けの確認や、部屋回しの確認、患者様の情報共有をみんなで行います。
多くの美容クリニックは10時から診療がスタートします。
前日のメールでの問い合わせの返信や電話対応、自分が担当する患者様の施術や手術の介助などを行います。
クリニックによっては、看護師がカウンセリングにも入ります。
美容外科では午前中から手術の予約が入っていることも多いので、前日から手術の準備をしておく場合もあります。
お昼休憩は交代で1時間ほどです。
平日など、予約が混み合っていなければ、空いているスタッフは12時に昼休憩を取りますが、基本的には患者様の予約状況に合わせてお昼休憩を取ります。
患者様の対応によって、万が一お昼休憩が30分しか取れなかったときは、その後の空いている時間で、残りの休憩時間30分を消化することができます。
クリニックによっては、長時間の手術があって手術後に空き時間もない場合はご飯休憩のみになる日もあります。
休憩時間が確実に取れるか気になる!確認したいけど聞けない!という方は転職エージェントを通して事前に確認しておくと安心です。
引き続き、施術や手術の介助など、担当している業務をこなしていきます。
新規の患者様が当日治療となった場合、急遽対応をしなければならないこともあります。
他の患者様の予約状況や部屋の状態の把握をして、他のスタッフと情報共有しながら新規の患者様の対応を行います。
空いている時間でカルテ入力や在庫チェック、滅菌作業などの雑務を行っていきます。
患者様対応や雑務が終わったスタッフから、スムーズに閉院できるよう、物品の片付けや翌日の準備、締め作業を行っていきます。
残業することはほとんどなく、基本的には定時退社、もしくは少しの残業くらいで帰れることが多いです。
美容クリニックにおける看護師の役割とは
美容クリニックにおける看護師の役割は、さまざまです。
患者様の悩みを把握して、適切な治療の提案を行ったり、丁寧かつスムーズな施術・手術介助を行うこと。
また、美容クリニックでの治療は痛いイメージや怖いイメージがつきものです。患者様の不安を軽減し、安心して治療を受けられるように接することも大事です。
そして、美容クリニックに来院される患者様は、コンプレックスを抱えていて、長年悩んでこられて、やっとの思いで来院した、という患者様も多くいらっしゃいます。
施術や手術の介助に入り、時にはカウンセリングにも入る看護師が患者様と過ごす時間が1番長いですから、患者様の気持ちに寄り添って信頼関係を築いていくこと。そして患者様に「ここのクリニックでやってよかった」と思ってもらえるように、少しでも前向きな気持ちになってもらえるようにサポートしていくことが看護師としての大切な役割になるでしょう。
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