- 男性で美容看護師になるとキャリアはどうなる?安定するの?
- 病院で働くよりも年収は上がる?
- 男性で美容看護師になる魅力って?
- 実際、病院よりも働きやすいの?
このような疑問に全てお答えしていきます。
今回は4年の臨床経験を経た後に、男性で美容看護師として活躍し、現在も男性美容看護師のキャリアを切り拓いている沖 賢太郎さんに本記事を執筆していただきました。
男性が美容看護師として働くことの魅力だけではなく、辛いことや職場環境のリアルなど、その実態を全て赤裸々に執筆していただいています。
男性で美容看護師になれるの?
結論、男性で美容看護師になれます。
今や男性で脱毛をするのは当たり前の時代。スキンケアやメイクなど一般的な男性美容への関心も高まっている中で、クリニックに来院される方を見ていると、美容医療を受ける選択をされる男性の層も増えてきているなと実感しています。
美容医療を提供する側として、男性の悩みに寄り添えるのは同性の強みです。僕自身が美容看護師を目指そうと思ったのも、男性看護師の寄り添いがあったから。その観点で言うと男性の患者様にはやはり男性美容看護師は必要なポジションだといえます。
僕自身、美容看護師になりたいと思ったのは、6年前の医療脱毛の体験がきっかけになります。病棟看護師2年目である23歳の時、男性看護師の先輩と青髭の話になり青髭が医療脱毛で解決できるということを当時教えてくださいました。この時まで「青髭に悩んでいるのは自分だけ」「恥ずかしいもの」と思っていたこともあり、他の人にコンプレックスを伝えることは凄く勇気がいる行動でした。
医療脱毛を受けた時、施術者が看護師であるという認識がなく美容スタッフだと思っていました(最初のカウンセリングで間違いなく伝えてくれていたと思うんですけど、カウンセラーさんが綺麗な方だったので緊張して話があまり入ってこなかったというのが正直なところです)。ある程度来院を繰り返した頃、担当してくれた人が男性で色々親切に教えて下さった際に施術者が看護師である認識になり、青髭のコンプレックスも解消されていく内に美容看護師の仕事に興味が芽生えていきました。
男性看護師が美容クリニックで働くメリット・デメリット
男性看護師が美容クリニックで働くメリット・デメリットを以下にまとめました。
メリット
- 美容の専門知識が身に付く
- 美容が好きな人は更に好きになる
- 接遇力が身に付く
- 美容施術を福利厚生で無料もしくは格安で受けることができる
- 患者様に喜んでもらえてやりがいを感じる
- インセンティブ次第で給与アップが出来る
①美容の専門知識が身に付く
美容に関する正しい知識が身に付くことで、学んだ美容の知識を自分自身のケアに活用でき、患者様へ接する時のアドバイスに活かすことができます。またSNSで見る美容情報が自分にとって合っているかどうかなど、最新のトレンド情報に流されないための判断力が身に付くのもメリットです。
②美容が好きな人は更に好きになる
「美容が好き」を仕事にすることは、美容に関する情熱を日々の仕事に還元できる事が一番のメリットだと感じています。美容が好きな気持ちが知識をより増やしたいという思いに繋がり、その姿勢が仕事に表れ、その結果患者様への還元に繫がります。仕事全体のパフォーマンスの向上は生活の質をかなり上げてくれます。病棟勤務の時は、休日の夕方から「明日仕事か…」と考えると気分が沈んで気が重くなることもありましたが、美容クリニックで働き始めてからは、好きを仕事にしていることから仕事に対する気持ちも前向きで、休日を休日として楽しめることもポイントの一つですね。僕の場合は、仕事前日の夜も憂鬱感に襲われず、好きな休日の過ごし方が出来ました。
③接遇力が身に付く
安心・安全に感じてもらう関わりは病院と同じですが、美容の場合は+αおもてなしの精神が大切です。施術をしながらお客様をもてなす配慮が身に付くと、人との関わりが楽しいものになり、人としての魅力を磨くことに繋がります。
④美容施術を福利厚生で無料・格安で受けることができる
クリニック内の施術を正しく患者様に提供するためには、自分でその施術を知ることも大切です。そのため、スタッフは施術を格安もしくは無料で受けることができ、自分自身も綺麗になれるので、美容が好きな人には持ってこいだと思います。
⑤患者様に喜んでもらえてやりがいを感じる
施術を通して患者様に喜んでいただけると嬉しいですし楽しいですよね。もっと喜んでもらえるように前向きに仕事に向き合うことができ、きっと仕事が楽しいものになるはずです。
病棟時代は、患者様が元気になって元の生活に戻れることへの喜びもありましたが、美容では肌が綺麗になることで「コンプレックスが気にならなくなって、人と会うことの躊躇いがなくなったり、自信が持てました。」と直接お話してくれた方もいて、嬉しかったですね。
⑥インセンティブ次第で給与アップが出来る
クリニックの売上に貢献することで特別報酬がもらえることをインセンティブといいます。例えば、他の施術の契約に繋げたり物販の売上に貢献したり、SNSを利用して集客に繋げることでインセンティブがもらえます。僕は一通り経験しましたが、とにかく数をこなし、その質を上げていくことで報酬アップが見込めます。美容クリニックの魅力の一つですね。
大まかに上記6つのメリットがありますが美容クリニックでのやりがいで大切なポイントは、
- 患者様と美容を元に色々なお話が出来ること
- 施術を通して喜んでもらえること
- 美容を仕事にしているんだという満足感
- 美容への情熱を追求できること
だと思います。
デメリット
- 施術を提供出来る幅が限られる
- 女性患者様の対応では高度な美容知識と接遇が求められる
- 女性の患者様には断られるケースもある
デメリットは実際に僕が働いて感じた体験談ベースなので、リアルに綴っていきます。
①施術を提供出来る幅が限られる
そもそもの美容医療に関するお話になりますが、一般男性の考える美容医療の認識として、「美容クリニックでは何ができるのか?」「病院との差が分からない」などがあります。僕の周りの人で美容意識の高いイケてるメンズでさえ美容医療への認識が不十分な方は結構多いです。
時代と共に少しずつ男性美容全体への関心は高くなってきていますが、女性は美容に投資する事が一種のステータスであることに対し、男性は肌悩みがある人を除いてほとんどの方は肌を綺麗にすることにメリットを感じていなかったり、どのように自分にプラスになるのか分かりにくく、可視化しづらいものだと思っています。
その他、僕がそうであったように悩みを打ち明けるのに抵抗がある人、相談できる環境がないなど、まだまだ一般男性が美容クリニックに来院するまでの動線が遠いと感じています。そのため、そもそも美容施術を知らない一般男性の需要に沿って施術を考えるので提供できる施術は限られてきますね。
女性の美容クリニックでは色々な施術がありますが、男性専門の美容クリニックだったり、男性患者様が多いクリニックでは、「医療脱毛」「AGA治療」「ワキガ治療」がメインになります。僕自身、美容看護師1年目で大手の男性専門美容クリニックに勤めていた時は、脱毛とAGA治療をひたすらやっていました。たまに、ハイドラフェイシャル(毛穴洗浄)をしていたくらいです。
②女性のお客様を相手にする場合、高度な美容知識と接遇が求められる
僕が美容看護師2年目になった時にスキルアップを考え、女性患者様が9割の個人美容クリニックに転職しました。そこで、美容への熱量が高い女性の患者様を相手にするということはどういうことなのかを身を持って体感しました。
スムーズかつ丁寧な施術が出来ていることは基本中の基本。その上タオルの巻き方やお顔の触れ方、声のかけ方、質問の受け答えまで、治療提供と接遇力ともにハイレベル。病棟看護師1年目を思い出したような気持ちになりました。施術のテストも何回も落ちましたし、タオルの巻き方は20回以上練習しましたね(苦笑)。
③女性の患者様には断られるケースもある
患者様が女性の場合、男性施術者というだけでネガティブなイメージが働き施術NGを受けたこともしばしばあります。自分のミスで、「次回、担当を外してください。」と断られたこともあります。男性が女性の患者様を相手に施術を提供することは異性ゆえ大変なことが多いですが、「自身の治療の幅を広げたい」「美容を追求したい」という人はぜひ女性も来院されるクリニックに挑戦してほしいなと思います。
僕の肌感になりますが、女性の美容クリニックでチャレンジしてる男性ナースはSNS上では数人しか知りません。ぜひ、この記事を見つけたら僕と繋がってほしいです!(笑)男性にしか分からない悩みを共有しましょう!
男性美容看護師の年収・月収は高い?相場を解説
美容皮膚科の領域でしか経験がないので、その前提でお話いたします。
男性美容看護師の月収・年収相場 | |
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月収 | 手取りで30~35万円 役職者になると手取りで約40万円 |
ボーナス | 1回につき5~10万円 ※ボーナスがないクリニックもあります |
インセンティブ | 0~数十万円 |
僕が最初に入職した美容クリニックは、勤めた年度のタイミングでボーナス制度が導入されました。
インセンティブは個人の売上によるものなので、個人個人で変動します。インセンティブの内訳として、クリニック内での個人の売上貢献と集客などが含まれます。
年収は、月に夜勤2〜3回程入れた病棟看護師の年収とトントンくらいのイメージです。ただ、そこにインセンティブが加わることでもう少し高くなると思います。
男性美容看護師が活躍できる美容クリニックの種類と仕事内容|1日のスケジュール例
男性看護師が活躍できる美容クリニックの種類は大きく分けて、「男性専門の美容クリニック」と「女性患者様メインの美容クリニック」の2つがあります。
男性専門の美容クリニック
男性専門美容クリニック | |
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仕事内容 | 医療脱毛、ドクター施術の準備・介助(イボ・ほくろ取り)、AGA治療(頭皮への注射)、ダーマペン |
メリット | 男性看護師が多い 患者様も男性が多いため話が合うことが多い 同性同士で気軽に話せるため働きやすい |
デメリット | 基本的に脱毛施術が多いため飽きることもある(機械的な作業が好きな人は向いている) 他の施術の習得スピードが遅い(クリニックによる) |
デメリット2つ目の「他の施術の習得スピードが遅い」に関して補足すると、男性看護師はVIO脱毛を優先して入る場合が多いことと、他の施術に関してそもそも患者様の需要が少ないことも相まって、同期の女性看護師に比べて施術習得スピードが遅くなるという背景があります。
男性専門美容クリニック
1日のスケジュール例
実際に僕が働いていたスケジュール例です。
出勤
ヒゲ脱毛の施術
AGA治療(頭皮注射)orハイドラフェイシャル(適宜)
全身脱毛の施術(上半身or下半身)
ほくろ・イボ取りのドクター施術の介助(適宜)
休憩
リーダー業務(後半と翌日午前の予約台帳管理と采配)
退勤
※施術の内容についてはその日の予約次第で変わります。
男性専門美容クリニックだと丸1日脱毛する日はざらにあります。
僕の場合は入職して半年間ほどは丸1日脱毛をやっていました(研修期間は3ヶ月)。
女性患者様メインの美容クリニック
女性患者様メインの美容クリニック | |
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仕事内容 | 医療脱毛、IPL治療、HIHU、マイクロニードル治療、ドクター施術の介助(ヒアルロン酸注入・ボトックス注入等)、カウンセリング補助、物販の提案など |
メリット | 施術の幅が広く習得スピードが早い 接遇力が身に付く |
デメリット | 美容クリニックでの臨床経験が必要なところが多い 個人美容クリニックでは施術合格の難易度が高い 習得スピードが早い分ついていけない事がある |
デメリット2つ目の「施術合格の何度が高い」に関してですが、スタッフが少数な個人クリニックでは各個人が売上を作っていくことへの意識を高く持つことが必要です。さらに施術の品質が悪いとクリニックの評判悪化に影響しやすいため、個人個人の役割の重要度が高く、施術合格の難易度も高くなっているんです。
女性患者様メインの美容クリニック
1日のスケジュール例
僕の実際のスケジュール例(個人美容クリニック)です。
出勤
全身脱毛(男性)の施術
ピーリング・イオン導入の施術
ボトックス・ヒアルロン製剤準備(適宜)
休憩
カウンセリング(適宜)
顔脱毛(男女)の施術
ダーマペンの施術
空き時間に施術練習・勉強・外回り・掃除
退勤
※施術の内容についてはその日の予約次第で変わります。
男性専門美容クリニックとの違いは施術のボリュームが多いことです。
また個人クリニックでは、少数精鋭な部分もあるので協力体制が大事。個人でも大手でもカウンセラーがいますが、看護師がカウンセリングに入ることもあります。
個人クリニックはお客様からの指名制度もあり、スタッフ一人一人の価値に重みがあります。お客様と関わる上で、知識を知識として備えるだけではダメで、相手にいかに届けることができるか、接遇力がより一層試されます。また、手が空いたスタッフは物品の管理や掃除を進めていくなど、定時に帰るためのチーム力も大事です。(笑)
男性美容看護師の将来性は?リアルな4つのキャリアプラン
男性美容看護師のキャリアアップとして、僕や僕の周りの実在する看護師たちのリアルを元にお伝えします。
男性美容看護師のキャリアの選択肢としては以下の4つが挙げられます。
- 美容クリニックの中で昇進していく人
- 美容看護師の経験を活かし美容ライターになる人
- 美容クリニックの立ち上げをする人
- マーケターになる人
それぞれお伝えしていきますね。
①クリニックの中で昇進していく人
「トレーナー」→「副主任」→「主任」→「師長」のように、1つずつ役職を上げてキャリアアップしていく方法があります。
役職者はスタッフ個々の指導体制を整えたり、院の方向性を各分野の職種とすり合わせをしたり、クリニックを統括する仕事を担います。
②クリニックでの経験を活かしライターになる人
美容看護師として美容クリニックで働き、そこで習得した知識や経験を活かして美容記事を作るといった美容ライターになる人もいます。
ライターは副業やテレワークでできる仕事で、企業や個人からの依頼を受けて記事を書きます。ライターのコミュニティもあるみたいですよ。
③クリニックの立ち上げをする人
0からマニュアル作成をしたり、クリニックのルール決め、SNS運用、指導体制を整えたりするようです。
④マーケターになる人
周りの男性美容看護師は、最初に勤めた美容クリニックに残る人もいれば、美容クリニックのコアスタッフになる人、②美容ライターや③立ち上げスタッフに方向転換する人もいます。
僕自身は約2年の美容皮膚科での経験から、今も美容看護師をしていますが、世に美容の素晴らしさを伝えていきたいと思う気持ちが強くなり、④マーケターの道を選びました。
マーケターの道を選ぶ美容看護師は正直あまり見かけません。そもそもマーケターって何?という人も多いと思いますし、僕も今勉強真っ最中でまだまだこれからです。キャリアの進み方は、美容が好きなら美容看護師の枠を超えて、色々模索しながらスキルの掛け合わせでいくらでも可能だと思っています。ただ、看護師になった人は、あまりそういうリスキーな働き方をする人は少ないですから、珍しい働き方をしてると自分でも思っています(苦笑)。
僕は今マーケターへ転向したタイミングでフリーランスとして活動しています。
1週間のスケジュールとしては、火〜木は男性メディアのSNS運用のお仕事を業務委託として、土日は美容看護師をアルバイトとして、月・金はフリーです。男性メディアのSNS運用は、30代男性をターゲットにしていて、主に身だしなみに関する事を企画〜撮影〜編集まで携わっています。僕のInstagramのプロフィールにアカウントを記載しているのでよければ見てください(笑)
これまでの美容医療とは違い、概念的な身だしなみを整えることの大切さや楽しさを模索する日々が、楽しく魅力的なところだと思っています。また、SNSの運用力を身に付けることで、一般男性と美容クリニックの橋渡しができるといいな、というのが僕の今の夢です。
男性美容看護師の役割・強み
男性美容看護師の役割・強みは男性患者様の理解者になれることです。男性患者様と接する時に「同じ同性の方で良かった。」と言われることがあり、女性の看護師と比べて安心感を与えることができます。また次も指名したいですと言われる事もあります。女性のお客様に施術を褒めてもらえた時には、心の中で(女性に負けてないぞ!嬉しい!)とガッツポーズしていますね(笑)
美容に進む男性看護師はちょっぴり変わっている人が多いといいますか、これは実際働いてみないと分かりにくい部分が多いんですけど、一言でいうと「みんな明るい!」です(笑)なので、男性看護師が多い美容クリニックは場が和やかになって働きやすいですね。
男性で美容看護師に向いてるのはどんな人?
- 美容が好き
- 自分の身だしなみを整えることが好き
- 気を遣うことができる
- 相手に尽くすことが好き
- 思いやりがある
美容看護師の根幹は綺麗をサポートするお仕事だと思っているので、「美容が好き」「美容を仕事にしてみたい」と思う男性看護師の中でも、自分の身だしなみを整える事が好きだったり気を遣うことができるのは重要なポイントだと思います。
相手に尽くすことが好きだったり相手を思いやることができる人は、相手のことを考えながら仕事をすることが大切な美容看護師にとって必要なマインドだと思います。
まとめ
今は時代的に身だしなみに気を遣うメンズは増えていて、自ずと男性看護師で美容が好きな人は美容看護師を目指す人も増えていくと思うんですよね。
男性美容看護師の魅力は、自分の関わりで相手も喜んでもらえて自分も満足感を味わえること、仕事を通じて美容の追求ができることに尽きると思っています。「男性美容看護師は、あまり周りにいないから不安がある」「臨床での看護師としてのキャリアはどうなるんだろう、、」などなど不安に思う気持ちも分かります。
僕の体験談ベースの本記事が、読んでいる皆様にとって、不安材料が消えたのか、ワクワクする内容だったのか、ちゃんと届ける内容が記載出来ていたのか少し不安になりますが、美容の世界は自分で体験してみないと分からないです。看護師であれば、いつでも臨床に戻れますからね!
チャレンジしてみたい気持ちが1mmでもあるなら、やってみる価値はあります!!読んでいるアナタを応援しております。男性美容看護師の働き方が世に認知されるためにも、僕も日々頑張っていきます!
これまで僕の記事にお付き合いいただき、ありがとうございました!