- 看護師がアートメイクでクリニックを開業することはできるの?
- クリニックの開業方法を知りたい
- 開業後、クリニックオーナーとしての仕事内容は?
- 開業することの良さや大変なことを知りたい
- クリニック開業に向いているのはどんな人?
このような疑問に全てお答えしていきます!
今回はなんと!クリニック開業をされてオーナーとしても活躍されているアートメイク看護師さんにリアルなお話をお伺いしました!
実際にご自身のアートメイククリニック「ラテールクリニック」を開業した、アートメイク看護師の問田あかりさんにインタビューを行いました。
問田さんに開業時の経験談や、開業のメリット・デメリット、開業後のクリニックオーナーとしての仕事内容や働き方など、その実態を解説していただきます。
条件をクリアすればアートメイク看護師がアートメイクでクリニック開業することはできますが、開業には大変な責任とリスクが伴います。そのことを念頭に置いて、この記事を参考にしていただければと思います。
取材したクリニックオーナー兼アートメイク看護師の紹介
名古屋で人気が高いアートメイククリニック「ラテールクリニック」のオーナーであり、現役アートメイク看護師としても活躍。3年の病棟勤務と2年半の脳外科クリニック勤務を経て、派遣ナースや美容クリニックのバイトも経験後、アートメイクの存在を知り大手アートメイク専門クリニックへ転職。そこで経験を積んだ後、フリーランスとして独立。独立した3か月後に会社も立ち上げ、アートメイク看護師の育成指導も行う。会社を設立して1年後に自身のアートメイククリニックであるラテールクリニックを開業。オーナーとしてクリニックの経営を行いながら、現場でアートメイク看護師としても活躍し、講師としてセミナーも開催している。
※問田さんへの開業に関する相談や営業などのお問い合わせはご遠慮ください。
看護師がアートメイクで開業するために必要な資格・条件
そもそも医療従事者が「開業する」ということには2種類の意味があります。
- 個人事業主として独立(開業届を提出)し、フリーランスとして活動する
- クリニックを開業する
アートメイク看護師の場合も同様で、「①個人事業主として開業届を提出し、フリーランスとして独立する」という場合には、自分自身で提携してくれる(施術をさせてもらえる)クリニックを探して契約を交わします。
もちろん複数のクリニックと契約を行い、様々なクリニックで施術を行うことも可能です。
- 雇われで縛られる働き方はしたくない
- 自由な働き方がしたい
- 自分の実力や努力・成果を正当に評価される環境で働きたい
- 自分のやりたいことを実現できる働き方をしたい
- 自分の実力を試したい
- 独立して高収入を目指したい
このような方はフリーランスになって独立するという選択肢も視野に入れることをおすすめします。
フリーランスのアートメイク看護師については、3人の現役アートメイク看護師によって下記の記事で完全解説しています。
今回の記事では「②クリニックを開業する」ことを本題として解説していきます。
結論を言うと、看護師のみでクリニックを開業することは不可能ですが、医師にクリニックの管理者になってもらい、看護師がオーナー(経営者)になるという形で共同で開業することはできます。
アートメイクを行うために必要な資格・条件
アートメイクを行うためには医師・歯科医師・看護師免許(准看護師可)のいずれかの資格が必須です。
アートメイクは針を使って皮膚に色素を入れていく施術であり、厚生労働省によって医業に位置付けられています(下記引用参照)。
以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
〔中略〕
(2) 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為
〔後略〕
厚生労働省「医政医発第105号」
アートメイクは「医業」であり、「医業」は医師しかなしてはならないと医師法で定められています。
ただし、条件を満たせば看護師が施術を行うことができます。その条件とは、「医師が常駐しているクリニックで医師の監督下・指示の元で看護師が施術を行う」というものです。
つまり、アートメイクの施術を行えるのは、「医師もしくは医師が常駐しているクリニックの看護師だけ」ということです。これらの条件以外でアートメイクの施術を行うことは医師法違反となります。
アートメイクを行える場所の条件
先程お伝えした通り、アートメイクは「医業」に位置付けられています。
さらに医療法では、「医業」を行うことができる場所として、病院や診療所などの医療提供施設に限定しています(下記引用参照)。
医療は、国民の健康の保持のための努力を基礎として、病院、診療所、老人保健施設その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならないこと。
厚生労働省「厚生省発健政第 82 号」
アートメイクは医師もしくは医師監督下の看護師しか行ってはならず、アートメイクを提供する場所も医療提供施設に限られるためアートメイクを行う事業を起業するには、クリニックの開業が必要となります。
しかし、クリニック等の医療機関の開業は、医師免許を有するものしかできないとされています。
正確にお伝えすると、医師または歯科医師の免許を持つ人が管理者として院長にならなければ、開業はできません。
つまり看護師だけでクリニック開業をすることは不可能であり、当然アートメイクを行うためのクリニックも開業することはできません。
看護師だけでクリニック開業をすることはできませんが、医師に管理者になってもらう形で共同で開業し、看護師がクリニックのオーナー(経営者)になることは可能です。
アートメイクで看護師が開業する方法
ここからはアートメイクで看護師が開業する方法や注意点を解説していきます。
信頼できる医師と契約を交わす
前述した通り、看護師がアートメイクで開業するには、医師に管理者になってもらう形で共同で開業する必要があります。
実際にクリニックを開業する看護師の中には、知り合いの医師と開業したり、知人からの紹介で医師と繋がって開業したり、医療職専門の紹介会社で求人を出して採用した医師と開業するなど様々なパターンがあります。
いずれにしても、本気でクリニック開業を考えるのであれば、自分が本当に信頼できる医師とタッグを組めるかが非常に重要です。
クリニックの管理監督責任は開設医師となります。そのため、オーナーであっても独断でクリニックを経営することはできず、クリニックの業務は医師の指示の元で遂行しなければなりません。
業務・管理内容によってトラブルが生じることの無いよう、医師との情報共有やクリニックとしての方向性を共に決定していく必要があります。
その時の信用だけで医師を雇うのではなく、契約書の条文に必要事項を明記した形で契約を締結することで、最低限のリスク回避をすることは必須です。
一般的な美容系クリニックの開業の流れ・スケジュール
【1年半以上前】コンセプトを決める
コンセプトとして決めていくのは下記の通りです。
- 診療内容
- ターゲット層
- クリニックの規模感
- 経営理念
事業をする上でコンセプト決めは非常に重要です。クリニックの集客や経営をしていくための軸となるので、きちんと熟考して決めましょう。
【12~16ヶ月前】開業場所・物件の選定、資金調達
クリニックの開業場所はコンセプトに沿って決めましょう。利便性の良いエリアはそれだけ賃料コストも高くなるので、集客率に見合う賃料であるかを見極める必要もあります。競合リサーチも行いながら、ターゲット層に合わせた土地選定を行いましょう。
また、最初に決めたコンセプトに沿って事業計画書を作成します。事業計画書を作成する中で、必要総資金や運転資金の算出を行い、この事業計画を元に日本政策金融公庫や福祉医療機構・民間銀行からの融資などの資金調達を行います。
ある調査によれば、全額自己資金で開業できたクリニックは全体の23%。
7000万円以下の借り入れや融資を受けたクリニックがもっとも多く、1億円以上の調達を行ったドクターも全体の23%に達したそうです。
一般的には、クリニック開業資金のうち自己資金額は少なくとも全体の5~10%、平均で10~20%以上が望ましいといわれており、残りは日本政策金融公庫や福祉医療機構・民間銀行からの融資、親族等からの借り入れなどで賄います。
AK CO.,LTD.|〈失敗しない美容クリニック 02〉開業資金と融資の基礎知識 〜テナント契約、内装工事から人件費まで〜
返済不要の地域創造的起業補助金(創業補助金)の利用を考えるのもいいでしょう。但し金額に上限があり、外資金調達がない場合は100万円まで、外部資金調達がある場合は200万円までが上限となります。(※募集時期は毎年4~5月が多く、逃すとその年の補助金がもらえる可能性はなくなります。)補助金の対象者等、詳細については「中小企業庁」のサイトで確認できます。
【6~12ヶ月前】クリニック名・ロゴ決め、内装業者選定
この後のクリニック内装レイアウトの決定や、導入する医療機器の選定などに時間を要します。そのため、遅くても開業6ヶ月前までには物件を決めて賃貸借契約を済ませておきましょう。
クリニックのコンセプトに沿って、クリニック名やロゴを決めていきます。これらが決まった上で、クリニックのイメージに合いそうな内装業者を選定していきましょう。
【3~6ヶ月前】内装工事、医療機器選定、保健所・消防署への事前相談
内装レイアウトを決める時には、クリニック内の広さや快適な動線作りが重要です。また、具体的に動線・オペレーションのシミュレーションを行うためにも、導入する医療機器の選定をする必要があります。
電子カルテを導入する場合は、遅くてもこの時期には選定しておく必要があります。クリニックの規模にもよりますが、電子カルテを導入し本稼働するまでに約6~8ヶ月要し、最小限の導入設定で済むとしても3ヶ月はかかります。
「保健所・消防署への事前相談」については、コンサルタントや内装業者が行うことがほとんどです。内装業者と打ち合わせを重ね、レイアウトが決定すると、コンサルタントや内装業者が内装図面を保健所や管轄の消防署へ持っていきます。建築基準法、消防法で基準が定められており、クリニックとしての基準をクリアするために確定した内装図面で工事を進めてもいいか、事前に相談を行うのです。
【1~3ヶ月前】スタッフ募集採用、広告準備
開業1ヶ月前にはスタッフ研修を始めていく必要があるため、それに間に合うようにスタッフの募集・採用を進めていきます。求人サイトや人材紹介会社を利用する方法もありますし、既にアートメイク看護師としてSNS運用をして知名度がある人の場合はSNSを活用して求人募集するのもいいでしょう。
同時に集客するための宣伝方法を考えていきます。チラシやWeb広告、SNSでの宣伝など、費用対効果も考えながらクリニックに合ったPR施策を打っていきます。
また、顧客がクリニックを選ぶ際に、検索サイトを活用することが多いため、ホームページの制作もほぼ必須となります。この時期からホームページ制作会社を選定し、進めていきましょう。検索された時に目立つところ(上位)に自分のクリニックのサイトを表示させるためには、SEO(検索サイトで上位表示させる施策)に強い制作会社を選ぶことも重要です。上位表示できれば、それだけ顧客の流入数も多くなります。
【1ヶ月前~】開設届提出、保健所の立入検査、スタッフ研修・オープン準備
内装工事が完了したら、管轄の保健所に開設届を提出します。医療法ではクリニック開設後10日以内に届け出るよう定められていますが、保健所の立入検査があるため実際には内装工事が終わったタイミングで開設届を提出する必要があります。保健所の立入検査については、開設届提出時か保健所への事前相談時に、保健所と立入検査の日程を調整することになるでしょう。
手続き関係が終わった後は、クリニックのオープン準備をしていきます。
開業1ヶ月前にはスタッフ研修を始め、理念やコンセプト、オペレーションなどを共有し、オープン後にスムーズに回るようにスタッフを育成しながら信頼関係も構築していきます。事前にマニュアルを作成できると尚良いでしょう。
また、医療機器や什器など、備品の納入・設置も行います。医薬品や物品等の在庫管理や発注方法、医療機器、電子カルテの使い方なども共有しておきます。
以上が、クリニック開業までの大まかな流れ・スケジュールです。あくまでも一般的な流れであるため、参考程度にご覧ください。
税理士・社会保険労務士の選定
クリニック開業後、経理や労務に関する煩雑な業務も行わなければなりません。しかしクリニックのオーナーともなると、その業務内容は多岐にわたります。そのため、経理や労務などの業務は専門家に任せることが一般的です。
- 税理士
年末調整や決算書の作成等、税務処理・税務会計全般を行います。節税や資金繰りに関してのアドバイスをしてくれる税理士を選定するといいでしょう。また医療は専門性が高いために、税務においても医療業界特有の知識や考え方が必要とされます。医療機関での税務経験が乏しい税理士だと、有益なアドバイスを受けられない可能性が高いため、医業に特化した税理士を選ぶことが重要です。 - 社会保険労務士
人事・労務に関することは社会保険労務士に相談するといいでしょう。健康保険や雇用保険、厚生年金などの手続き、給与計算、就業規則の整備などの業務を請け負ってくれます。社会保険労務士においては、医療分野の詳しさは必須ではありませんが、できれば医療機関での経験がある方が望ましいでしょう。
アートメイクで開業するメリット
クリニックのオーナー兼現役アートメイク看護師の問田さんに「アートメイクでクリニック開業して良かったこと」をお話していただきました。
結論から言うと下記の通りです。
- お客様へ提供したい施術に自らが責任を持って提供できる
- お客様の率直な意見を直接聞くことができる
- 同じ志を持ったアーティストとの交流・技術向上の場を提供できる
- アートメイクの可能性を更に広げるための受け皿を作ることができる
それぞれ、詳しくお伝えしていきます。
お客様へ提供したい施術に自らが責任を持って提供できる
問田あかり
自ら提供したいと思う技術を選ぶことができるということは、開業して良かったと感じる部分です。
良い点はすぐに実行に移すことができ、悪い点は改善に結びつけることができるため、お客様への施術に責任を持って携わることができます。
自分で施術メニューも料金も決められたり、スタッフにも直接教えてあげられることで、自分の目指しているクリニックを実現しやすそうですね!
お客様の率直な意見を直接聞くことができる
問田あかり
お客様の声が本当にそのまま入ってくるので、感謝のお言葉を直接聞けたり喜んでいただけていることをダイレクトに感じられることがやりがいに繋がりますね。
お客様からの率直な感想やご不安・厳しいご意見も、包み隠さず直接届きます。お喜びのお声はとても嬉しいですし、厳しいご意見などに関しては本当に有り難く感じます。もっとこうしたら良かったんじゃないか?どのような改善をすべきか?など、スタッフとも共有できるため、より良い業務・環境の整備に繋がっていくと考えています。
やっぱり大手のアートメイククリニックとかだと、お客様の声は受付までで止まって施術者に届くことは少ないので。率直なご意見に気付かないまま、慢心していたこともありました。
細かいところも直接、活かしていくことができるので、そういうところは凄くいいなと思いますね。
雇用されていると自分の評価は先輩や上司にされることが多いですが、フリーランスも含めて自分で開業するとお客様に直接評価してもらえるのは魅力的ですね!
自分の実力や努力、成果などをお客様に正当に評価してもらえるのは、やりがいが大きいですよね。
同じ志を持ったアートメイクアーティストとの交流・技術向上の場を提供できる
問田あかり
クリニックに在籍している看護師は、アートメイク未経験の方もいます。ゼロからスタートしたスタッフが一つずつ出来ることが増えていくと、とても嬉しいです。一緒に喜びを分かち合いながら成長を感じられる毎日に、とてもやりがいがあります。
私を信じて一緒に働いてくれているスタッフがいることが、私にとってはとても心強く家族のように大切な存在です。業務のときには厳しくても、休憩中には和気あいあいとした雰囲気でとても楽しいです。
また、クリニックにはフリーランスのアーティストさんも所属しています。経験値によって、悩みやぶつかる壁も異なってきますが、未経験~ベテランのアーティストまで、色々な視点から相談し合えるというのは、とても心強いなと感じています。
アートメイクの可能性を更に広げるための受け皿を作ることができる
問田あかり
アートメイクはまだ美容的側面しか見られていないところがあるのですが、それをもっと医療的に関わっていけるような拠点にしたいなと思っています。
SNSの普及によって、現代のアートメイクが少しずつ浸透してきたことで、これまで誰にも言えなかった悩みに対して、アートメイクを施術したいという方からの問い合わせも増えてきました。
このような方々に対して、医療的知識を持つ看護師だからこそ、提供できるアートメイクがあります。
脱毛、皮膚の変色や色素の脱落、手術の傷あと、抗がん剤治療などによる副作用、乳房摘出後のカモフラージュなど、治療や疾患などによって起こる外見の変化に対して、アートメイクを施すことで、施術を受けられた方のお悩みが一つでも改善できるお手伝いをしたいと考えています。
アートメイクの力で前向きに変わってくださったり、明るい気持ちで社会に出ていけるようなきっかけ作りができる場を作れたらなと思っているんです。
アートメイクで開業する時の注意点(デメリット)
アートメイクでクリニック開業をする際に、注意すべきことや大変だったことをお話していただきました。
- 開業にはリスクが伴う
- 開業準備がかなり煩雑
それぞれ詳しくお伝えしていきます。
開業にはリスクが伴う
問田あかり
クリニックの開業は医師しか行うことができません。クリニック内で生じたトラブルや訴訟に繋がるような事態が生じた場合、最終的には医師に責任が問われます。
共同経営する医師との信頼関係はもちろん、業務管理や情報共有も踏まえて、医師と一緒にクリニックを成長させていく覚悟のある人じゃないと開業はオススメできません。
開業準備がかなり煩雑
問田あかり
法的な手続きや細かい備品を整える、内装の壁紙1枚選ぶことなどそういう開業までの準備は、やってみたら意外に大変なことばかりだなって感じてます。でも、私の中では苦ではないんですよね。
自分がやりたいこととか自分が作りたいものを突き詰めていったら、「もう開業するしかない」という結論に至って開業している感じなので、やらなきゃいけないことをやっていたら「これ意外に大変だな」って感じることはありますね。
大変なんですけど嫌とかじゃなくて、「アートメイクやりたい」とか「色々な人に周知したい」とか、「技術者にも誇りを持ってできる環境を作ってあげたい」とか、大変って思う以上にやりたいことを実現したい思いや原動力の方が勝ってるんですよね。
問田さんとしては、開業した後よりも開業するまでの準備期間の方が大変、やることが多かったみたいなイメージでしょうか?
問田あかり
そうですね。
でも、これからもっと大変になってくるんだろうなって思います。
競合も増えてきますし、技術者も上手な人がどんどん増えてきてるので、高い技術を提供できるクリニックでないと、お客様に選んでもらえないですよね。
なので、そのための環境作りとかスタッフの育成とかが、より一層重要になってくるのかなと思ってます。
あとは、やはり院長先生あっての開業なので、私と一緒にタッグを組んでくださる先生だったり、それをサポートしてくださるスタッフの方が大変かなと思います。
色々なリスクを背負って信じてついてきてくれてるので、そういうところは大事にしていきたいなと思います。
アートメイク開業ナースの仕事内容・一日の流れ
クリニックのオーナーとしてもアートメイク看護師としても仕事をされている、問田さんの実際の仕事内容や一日の流れを解説していきます。
主な仕事内容
- アートメイク施術
- SNS運用等の集客業務
- 物品・在庫の管理
- 提携クリニックへの売上報告書・請求書作成
- 提携クリニックとのミーティング
- 会社の経理担当との打ち合わせ
- スタッフの技術指導・業務管理
- 労働環境の整備
- クリニックの売上管理・企画考案
- 会社としての必要な手続き・管理業務(経理・税金関係等)
- 院長・スタッフとのミーティング
- シフトの管理
- 関連業者との打ち合わせ
- アートメイク講師として技術講習の開催
アートメイク看護師として雇用されて働いていた時やフリーランスとして働いていた時と比較して、仕事内容はどのような変化がありましたか?
問田あかり
そうですね。
雇用されていた時は、出勤して仕事をこなしたらもうそれで終了という感じなので、良く言えば仕事とプライベートとの切り替えができます。指名なしの方と私を選んで指名して下さった方、どちらも対応させていただいていました。
フリーランスに転向してからは、「問田さんにやって欲しい」っていう方だけが来て下さるようになり、やりがいが増しました。また、私を知っていただいた上で来院される方がほとんどだったので、すぐに打ち解けることができて、よりお客様に寄り添った施術ができると感じました。
また、フリーランスは施術だけではなくて、症例写真をSNSへ投稿したり、施術前後のお客様とのやり取り、予約管理、提携クリニックに対しての請求書作成、施術で使用する物品の管理・発注などがフリーランスになって業務として増えました。
「フリーランスは大変だよ」ということを耳にすることもありますが、私にとっては自分が選んでフリーランスアーティストを選択したので、大変だと感じたことはありませんでした。毎日の仕事がとても楽しくて、自分の時間も作りやすいので雇用されるよりは性に合っていました。
自分の好きなように自分がやりたいようにできるんですよね。集客だったり提携先のクリニック様との付き合いだったりっていうのは、自分が好きだから当然のようにやれるので、「自分が一番余裕を持ってできる」「自分のキャパ内でできる」っていうのがフリーランスのイメージです。
今はフリーランスでやっていた業務に加え、クリニック内の業務・会社管理・スタッフ指導や管理・経理や税務、雇用手続きなどなど、かなり細かな業務まで全部になってくるので、業務内容は本当にフリーランスの時の100倍くらいになってますね(笑)
クリニックのオーナーであっても、問田さん自身も施術に入られるんですか?
問田あかり
施術も入ってます!
自分のクリニックの施術にも入ってますし、フリーランス時代から提携しているクリニックにも行って施術してます。自分のクリニックの営業の日はクリニックで施術して、休診日に提携クリニックで施術を行ってます。
あとはアートメイク講師として技術講習も開催しているので、講習用の資料を作成したり見直したりなどの業務もあります。
一日の流れ
打ち合わせ・事務作業・当日の全体業務確認
自身のお客様を施術
クリニックの締め作業、スタッフ業務の漏れがないかチェック、物品のチェック、SNS運用等の集客業務、自身のセミナー資料の作成、打ち合わせ
自身の技術の見直し、翌日の業務チェック
お休みはどのくらい取られているんですか?
問田あかり
クリニックに在籍しているスタッフは週休2日で年末年始とかの長期休暇もお休みにしてるので、病棟の看護師とかと比べたら休みは多いと思います。
私自身はクリニックが休診の時でも、提携クリニックで施術したり打ち合わせが入っていることが多いです。
フリーランスとは違って、「施術が入っていない=休み」ではないので、休みの管理が難しいなと感じてます。
自身の施術は入れてなくても、クリニックが診療中であればスタッフからの連絡に対応することや、時間がある内に済ませておきたい事務作業をやったり、月のほとんどが仕事になってしまうことが多いです。
開業して間もない頃は、月に1~2日ほどしか休んでいなかったような気がするので、これからは自分自身の休息も大切にしていかなきゃなと感じてます。
開業後の売上シミュレーションに要注意
アートメイク看護師の開業について調べた時に、例えば下記のような売上シミュレーションを見た方も多いのではないでしょうか?
例)稼働アーティスト数(3人)×1日あたり患者数(4人)×1回あたりの平均施術価格(6万円)×勤務日数(22日)=1ヶ月あたりの売上(1584万円)
確かに、毎日安定して上記のような客数を集客できれば、このような売上イメージも成り立つかもしれません。
しかし、毎月の売上額だけに注視していてはいけません。
店舗を経営するのであれば当然、経費も把握した上で収支の計算をする必要があります。
経費は家賃や人件費、水道光熱費、材料・物品費などがあり、その他にも細かい費用がかかることもあります。
具体的な必要経費の例は下記の通りです。
テナント賃貸料 | 月100万円 (※1 テナントクリニック開業の家賃は医業収入の6~8%が目安) |
人件費 | 看護師 月36万円×3人 医師 月100~150万円 (※2 アートメイククリニックにおける給料相場) |
水道 光熱費 | 月45万円 (※3 売上の3%が目安) |
材料 物品費 | 月10万円×3人 (詳細はフリーランスアートメイク看護師の年収・働き方の目次7:必要経費を参照) |
さらに、開業時の初期費用としては「施術ベッド代やマシン代などの医療機器・設備費用」、「土地建物・テナント契約費用」、「インテリア・内装工事費用」などが必要です。
本気で開業準備に取り組む際には、専門の開業支援・開業コンサル会社に相談してみるなど、自分自身でしっかりと必要総資金や運転資金の算出をしておくことが重要です。
開業に至るまでのキャリア
問田さんがアートメイククリニックを開業したいと思った理由や開業に至るまでのキャリアについてお話していただきました。
開業したいと思ったきっかけや理由
問田あかり
私が大手アートメイククリニックで働いている時、施術メニューや使える商材、道具が限られていたのでお客様に提案できることが少なくなってしまうことを感じていたんですね。なので、自分が自信を持ってできる技術を提供したいなと思ったのが理由の1つです。
あとは、アートメイク看護師として働きたいけど働ける場所がないという現状があることに対して、技術者が育っても働く場所がないっていう現実をどうにかしたいなと思ったことが2つ目の理由。
それから、アートメイクはまだまだ色々な可能性があって、将来的にも様々な分野で活かしていけるので、その最初のスタートラインとして、開業したいなっていうのが3つ目の理由ですね。
問田さんが開業する(オーナーになる)までのキャリア
問田あかり
一般病院で3年勤務
新卒で一般病院に就職して、そこで3交代とか夜勤もやりながら、かなり忙しかったので本当に1日2時間ぐらいしか寝れずにまた仕事行くこともありましたね。多忙を極める現場を目の当たりにして、看護師ってけっこう過酷だなって感じてました。
脳外科の個人クリニックで2年半勤務
脳外科クリニックの先生が、ボクシングのリングドクターをしていたんです。試合前や試合中のメディカルチェックだったり負傷時の診察などを行うドクターのことなんですけど。それで、ボクシングの選手が若い頃に入れた入れ墨を除去しないと試合に出れないっていう制約があったり、昔は厳しかったみたいなんですね。そういう関係もあって、転職した脳外科クリニックにレーザーの機械だけ置いてあったんです。でも今は使ってないっていうのを聞いて「なんか勿体ないな」って思ったのでレーザーの機械を動かして美容皮膚科の分野を立ち上げたんです。そこから「美容って良いなー」っていう風に興味を持ち始めましたね。
脳外科クリニックにいたのは全体で2年半くらいなんですけど、院長先生がとても理解のある方で、脳外科クリニックに所属しながら他の美容皮膚科クリニックに週1でバイトに行ったり、お休みの日に派遣で訪問看護とか全く違う科の派遣ナースをやってみたり焼肉屋さんのバイトとかもしてました(笑)
なので興味のあることは色々やりつつ、脳外科クリニックでも美容分野のメニューを取り入れたり新しいこともさせてもらえていましたし、先生が進んで色々な勉強会に参加させてくれたおかげで、「美容って凄くいいな」って強く感じましたね。あとは院長先生が本当にスタッフを大事にされる方で、新人指導の際も周りが協力的で院内の体制が整っていて凄く働きやすかったんです。それで「今後こういう職場が増えたらいいな(自分も作りたいな)」っていうのは凄く感じましたね。
大手アートメイク専門クリニックで1年勤務
アートメイクの存在を知ったきっかけが、アートメイクが新たに流行り出した時で、昔のアートメイクって本当に入れ墨みたいな感じのものしかなかったのが、毛並みとかすごく自然で、パウダーでも本当にふんわりお化粧してるような感じの施術があるっていうのを知ったんです。それで施術を受けに行きたいなと思って色々探していた時に大手アートメイク専門クリニックが名古屋にあることを知って、看護師が施術しているっていうのも聞いて、そこですぐに転職したいってなりました。施術を受ける前に自分が施術をできるようになって技術を理解してから、いいものを受けたいって思ったんです。
アートメイクは全く知らない分野だったんですけど、凄く気になっててとりあえず転職してみよう!と思って、アートメイククリニックのことを初めて知ってから1か月後には入職決定という感じで行動は早かったですね。
フリーランスのアートメイク看護師として独立
大手アートメイク専門クリニックで施術している中で、使いたい商材を使えなかったり、そこではできない技術があったり、色々制限があったんです。その中で「アートメイクをもっと深めたいな」、「自分の興味がある分野ももっとやってみたいな」という思いがあって、それを実現するにはフリーランスでやるしかなかったので、大手のアートメイク専門クリニックを退職して独立しました。
その頃はフリーランスのアートメイク看護師って少なかったので、「どんな感じでしたらいいんだろう?」って本当に試行錯誤でした。
元々勤めてたところでは、リップのアートメイクをやるまでに段階があってすぐにはできなかったんですけど、リップのアートメイクが凄くやりたかったので退職した後はすぐにリップの講習をいくつか受けましたね。
リップの施術って痛みを伴う方が多いので、歯医者さんと提携してやりたいなあと思ってたんです。そしたら、知り合いがデンタルサロンMONAの先生と繋がるきっかけがあって、紹介してもらったんです。院長先生も元々アートメイクに興味を持っていたこともあって、そこからはすぐに提携の話が進みました。
そこから、歯医者さんで看護師がリップアートメイクを施術するっていう風に始めたのが、フリーランスとしての最初のスタートでした。
フリーランスになって3か月後に会社を立ち上げ
デンタルサロンMONAさんと提携してから、色々な方が来て自分の施術を受けてくれる方が増えてきた中で、技術を教えて欲しいっていう人も増えてきたんですね。
そこから、指導するなら責任持ってやりたいっていうのと、環境を整えて受け皿を作ってから動きたいという考えがあって、フリーランスになった3か月後くらいに会社を立ち上げました。
フリーでやりながら会社も立ち上げて、その会社でクリニックと提携して、アートメイクの技術を習得して働きたいっていう人たちが、提携クリニックで施術できるように環境を整えて指導していったっていう感じですね。
会社設立して1年後にアートメイククリニック開業
アートメイクの技術を学んで独立して働きたい人が多いけど、働けるクリニックが少ないっていう現実があったので、頭の中ではフリーランスとして独立した時に「クリニック開業」を視野に入れてたんです。
なので元々開業を考えていた中で、デンタルサロンMONAさんや他の美容クリニック、脱毛クリニックと提携して、施術症例や実績を増やしていきながら技術者も育てつつ、クリニック開業も進めていった感じですね。
アートメイクの開業に向いてる人の特徴
アートメイククリニックを開業した問田さんに、アートメイクの開業に向いている人の特徴を教えていただきました。下記の通りです。
- 対応能力が高い人
- 人のことを大切にできる人
問田あかり
開業に向いている人は「対応能力が高い人」ですね。
例えば良いことがあったら、「嬉しい!良かった!」で終わるのではなくて、それも勉強として他に繋げられる考え方を持てたり、逆に悪いことがあっても変に落ち込みすぎず、それをバネにして活かしていくなど、そういう対応能力は大事だなって凄く感じますね。
性格とかキャリアとかそういうのは関係ないと思ってて、正直キャリアがゼロでも本気でやる気があるかっていうことと、対応能力があるかが大事だと思ってます。
あとは、「人のことを大切にできる人」だと思います。
自分が一番、売り上げが一番ではなくて、相手のことを優先して考えられる人。自分が先頭に立って引っ張っていくことはもちろん大事なんですけど、かといって「周りには絶対にこの技術は教えない」みたいなマインドは良くない。
感謝の気持ちを大事にして、周りの人が自分についてきてくれるような人徳を築くことは大切だと思います。
フリーランスで独立するという選択肢も
クリニックを開業することが、本当に自分に合っているやり方なのか疑問を感じた方もいるのではないでしょうか?とはいえ、看護師免許やこれまでの経験を活かし、自分の力で何か事業を始めたいと思っている方もいるでしょう。
冒頭でお伝えした通り、フリーランスのアートメイク看護師になって独立する方法もあります。
フリーランスとなって独立し、クリニックと業務提携をすることで、法律に違反することなくアートメイクの施術ができますし、自分で自由に働き方を決めることができます。
クリニック開業をするとなると、開業資金や運転資金などが必要になったり医師との信頼関係が重要になるなどのリスクを伴いますが、フリーランスとして独立する場合は特別な資金は必要なく、全て自分次第でコントロールできるメリットもあります。
フリーランスになれば、年収も働く時間も自分次第であり、自分で開業をしなくても下記のような条件も実現しやすくなります。
- 雇われで縛られる働き方はしたくない
- 自由な働き方がしたい
- 自分の実力や努力・成果を正当に評価される環境で働きたい
- 自分のやりたいことを実現できる働き方をしたい
- 自分の実力を試したい
- 独立して高収入を目指したい
フリーランスのアートメイク看護師として活躍できれば、このような条件を実現できる可能性は高いです。但し、フリーランスも大きな責任が伴いますし、簡単になれるわけではありません。
フリーランスのアートメイク看護師になる方法や年収・働き方・メリットデメリット、雇われとフリーランスの比較などについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
まとめ:開業には覚悟と責任が必要
実際にアートメイククリニックを開業された、アートメイク看護師の問田さんにインタビューを行い、貴重なご意見をお伝えしてきました。
看護師がアートメイクで開業をすることは、誰にでもできることではありません。
クリニックを開業するということは、それだけお客様に対しても、協力してくれる医師やスタッフに対しても大きな責任が伴いますし、相当の覚悟が必要となります。
それを踏まえた上でも、クリニックを開業したい!と思う人であれば、クリニック開業後も楽しみながらやりがいを持ってクリニックの運営をしていくことができるのではないでしょうか。
問田さんが教えてくれた開業の実態をしっかりと理解した上で、検討されることをおすすめします。
また、あくまでも一般的な開業方法を記載しており、実際には個々の状況に応じて変わる部分もあります。ご自身のご判断と責任でお願いいたします。
また、この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
名古屋で大人気のアートメイククリニック
ラテールクリニック
アートメイクの技術レベルが高く、お客様からの評判も高い問田あかりさんがオーナーを務めるラテールクリニック。
ラテールクリニックのGoogleの口コミを見ても、Instagramでのお客様の声を見ても、その評判の良さは一目瞭然。技術力だけでなく問田さんの人柄に惹かれる方も多く、リピーターの多いクリニックです。問田さんが直接スタッフに技術指導を行っているため、スタッフの技術力にも定評があります。
全国で初めて歯科クリニックでのリップアートメイク施術を実現し、歯科医師による麻酔を行ってからアートメイクができるため、痛みを最小限にした新しい施術方法となっています。また、名古屋で人気の高いアートメイククリニックであることから、現在も他クリニックから提携して欲しいという声がかかっているほど。
眉・アイライン・リップのアートメイクを提供しており、メンズアートメイクも対応しています。
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